アビバ南足柄店様(神奈川県南足柄市)
「遊動」で顧客を囲い込み新基準機時代に必須のデータ

遊技動向分析システム『遊動』 アビバ南足柄店様(神奈川県南足柄市) アビバホールディングスの『アビバ南足柄店』では、顧客の遊技動向が把握できる「遊動データ」をもとに、リピーター創出、そして効率的な経営につなげていくという。

▲年配客が多い同店では『海シリーズ』の人気が高い
アビバ南足柄店』がある南足柄市にパチンコホールは2軒。競合状況が厳しいわけではないが、商圏人口もそれほど多いわけではない。潤沢な人口がいる場所ではない分、常連客の囲い込みが重要になる。
「オープンして約3カ月が経過しましたが、大半が複数回来店されているお客様です。浮動客が少ないのはオープン前から想定していたこと。常連のお客様に数多く来店していただき、長く滞在していただくことが重要になってきます」と語るのは高木一哉店長だ。
「また来たい店・長く滞在したい店」を目指して、清掃をはじめ「5S」を徹底。接客面でも、コミュニケーションを積極的に取り、お客の要望を改善につなげる。広い台間や通路といった開放感のある店内レイアウトなど、遊技環境面にもこだわった。
そして、もうひとつ。同店が重視しているのが「データに基づいた集客」だ。
「来店したお客様の来店動機となっている機種は何か、どのような遊技機を回遊しているのか。導入した新台のポテンシャルはどの程度か。過去の経験値にプラスして、何かを判断する時の拠り所となるデータがあれば心強いと考えました」
そこで目を付けたのが、グローリーの会員管理システム『P・BANK EXSIM』およびICカードシステム『G8 EXSIM』と、北電子のホールコンピューター『VORFORCE』との連携による『遊動』システムだった。『遊動』は遊技客の動向を見える化するシステムで、特定の遊技機で遊んだ人数や個別の消費金額、各台での滞留時間、会員分析の課題だった非会員の動向などを数値化。従来の遊技機データからは見えなかった指標、さらに従来の会員管理では分からなかった非会員のデータも蓄積して、戦略立案に役立てることができる。
──オープンから3カ月顧客動向が明らかに

▲ 「今後、データをもとにした戦略立案は重要になる」と語る高木店長
オープンから3カ月以上が経過し、同店にもデータが蓄積されてきた。まず着目したのが「初遊技分析」という指標だ。「初遊技分析」とは、ホールに来店したプレイヤーがどの遊技機で最初に遊んだのかを分析するもの。プレイヤーの来店動機となっている機種を明確に把握することで、店舗の強みを最大化することができる。
下の表1は同店の4円パチンコの初遊技機種ランキングを、1日あたりの初遊技人数の多い順でソートしたもの。年配層が多いということもあり、『海物語』シリーズの稼働が高い同店だが、初遊技人数でも海シリーズが突出していることが、あらためてデータで示された。
──他の機種について考察してみよう
台あたりの初遊技人数に注目すると、初遊技人数「2人未満」が2機種ある。これで総稼働が高ければ問題ないが、この2機種のアウトは4円パチンコの平均以下。つまり、遊技客の需要に対して、設置台数が多すぎることを示している。これらの機種については、一部低レートへの移動や運用の見直しが必要ではないか、ということが見えてくる。
機種レイアウトなどに活用できる指標が「遊動相関」だ。これは、ある機種を打ったユーザーがその前後でどの機種で遊技していたのかを数値化したもの。相関性が高い機種を見極めることで、効率的な台入替やレイアウト選定につなげられる。
同店の遊動相関を見てみよう。表2は12月に新台として導入された『大海物語4』の遊動相関だ。ランキングを見ると初遊技機種ランキングの上位機種のランクインが目立つが、5位に『大海4』とはスペックが異なる『大海物語BLACKライト』がランクインしている。こちらについては同一コンテンツという部分での相関が強く出ていると言える。
ここで注目したいのが『大海物語4』と『BLACKライト』の配置だ。「この2機種を近づけてより相関性を高めく滞在していただくことが重要になってきます」と語るのは高木一哉店長だ。
「来店したお客様の来店動機となっている機種は何か、どのような遊技機を回遊しているのか。導入した新台のポテンシャルはどの程度か。過去の経験値にプラスして、何かを判断する時の拠り所となて、アウト増加を狙う」方法と、「この2機種の間に稼働向上を図りたい機種を配置することで、遊技動機のきっかけにする」2パターンの方法が導き出せる。このほか、高木店長が期待する分析指標が「遊動アウト」だ。
これは機種のアウトを遊技人数で割った数値。つまり、一人の遊技客がその機種でどの程度遊んだかを示すものだ。この指標から、新台の寿命などを予測することが可能となる。 新台を導入したときのアウト平均は総じて高い傾向にあるが、多くの機種は5週、6週で同じ遊技料金の機種のアウト平均を下回る。今後の稼働が期待できる機種、期待できない機種を早い段階でわかるようにすれば、増台や売却の早期判断が可能となる。
新台のポテンシャルを測るためには導入1週目の遊動アウトが役立つ。
導入1週目の遊動アウトが高い機種は「1人あたりのアウトが多く、その機種で粘っている」ことを示し、その後の稼働に期待できる機種が多い。逆に遊動アウトが低い機種は「粘らず、すぐやめている」ということで、今後の稼働に期待できない機種が多い。ただし、遊動アウトの基準値については店舗や機種タイプごとでなるため、店舗独自の基準値を定める必要がある。

▲ 「初遊技分析」の例。機種Aと機種Bでは台あたりの初遊技人数が少なくなっていることがわかる。
店舗データ
所在地■神奈川県南足柄市狩野123
総台数■パチンコ 414台 / パチスロ 252台
交通 ■富士フイルム前駅から徒歩4分 和田河原駅から徒歩12分
──■相関性の高い機種 BEST10

導入した新台を打つお客様が、次にどの機種に移動したのか。どのレートの機種に座ったのか。あるいはどこの機種を経由して新台に座ったのかが把握できます。データを蓄積すればするほど、その新台が成功する機種なのか、失敗する確率が高い機種なのか早い段階で評価ができます。
また低貸玉の機種もアウトを取るのか、粗利を取るのか、撤去する基準・分岐も判断できる点は非常に大きいですね。稼動に対する遊動アウトを比べて、台の入れ替えを考えております。中古相場も毎日のように価格が変わりますが、高いうちに売るのか否か。遊動によって判断のスピードも速くなりました。