ホール向け来店者検知システム「フェイスコープ」

グローリーの「顔認証エンジン」を搭載したホール向け来店者検知システム『フェイスコープ』が登場した。発売までの経緯についてグローリーナスカ商品戦略部の茂木純一部長と栗山明マネージャーに話を伺った。

絶対が要求される領域で磨き抜かれた識別技術

—注目は何と言っても「顔認証エンジン」です。国内屈指という呼び声もあります。

茂木 もともとグローリーは通貨識別技術に強みを持っています。遡りますと1950年国産初の硬貨計数機を造幣局に納入しました。その強みはやがて銀行や郵便局の印鑑照合(98年)、手書きの文字を認識するOCR技術(99年)へと発展していきます。選挙で投じられる手書きの投票用紙がありますが、グローリーのOCR技術は投票用紙の読み取り及び選別にも活用されています。さらに入退室時の指紋照合や今回の画像処理にも応用範囲が広がり、その意味で言いますとグローリーの技術開発の歴史は「識別」における技術革新とともにありました。

—いずれも間違いが許されない「絶対」が求められる領域です。極めて過酷な世界と言えます。

栗山 グローリーの顔認証エンジンは万引き防止が恒常的な課題になっている流通業界から導入が開始されました。2013年のことです。それまでの防犯市場は大手電機メーカーの独擅場でしたが、以降、流通、警備、ホテルなど、さまざまな業界の大手企業から声がかかるようになりました。

—ホテルではどういう運用になっているのでしょう?

栗山 入退室の鍵としての運用ですね。有名なところでは長崎の『ハウステンボス』の中に昨年7月にオープンした『変なホテル』です。受付カウンターにいるのはロボットで、人間のコンシェルジュはいらっしゃらない。ふつう受付を済ませますと鍵やICカードが渡されると思いますが、ここでは顔が鍵、いわゆる〝顔パス〞になっています。入口ドア横のところにカメラが設置されていて、チェックイン時に登録されている顔の方が部屋の入口ドア横を見たらカチャっと開く仕組みになっています。

グローリーナスカ株式会社 営業本部 商品戦略部

グローリーナスカ株式会社
営業本部 商品戦略部
部長 茂木純一 もてぎじゅんいち

グローリーナスカ株式会社 営業本部 商品戦略部 販売企画1グループ マネージャー 栗山明 くりやまあきら

グローリーナスカ株式会社
営業本部 商品戦略部 販売企画1グループ
マネージャー 栗山明 くりやまあきら

マーケティング活用に流通業界から要望の声

—さて、これだけの精度を誇る顔認証エンジンですから、セキュリティ以外の別の分野での活用にも要望が出てきそうですね。

茂木 すでに流通業界からはマーケティングにも活用したいという要望をいただいています。もっとも本システムは、防犯、セキュリティが出発点です。最重点は要注意人物を確実に認証することにあります。その精度を維持・向上させていく中で、より正確なマーケティング情報(例えば、性別や年齢を高い精度で認識することが可能)として活用いただくこともできるのではと考えています。

最重点はセキュリティ置き引き対策を強化!

—パチンコホールに提案される『フェイスコープ』も基本的にはセキュリティに特化したシステムになりますか?

茂木 そうですね。基本はセキュリティです。実は先行した他業界では事件の解決につながる実績を上げています。そんな中で、パチンコ市場では置き引き対策や玉やメダルの不正な持ち込みの防止が強く求められるなど、共通のニーズが存在します。実際、ホール様でのフィールドテストでは要注意人物を特定した実績も報告されています。

—とくに置き引きについては防止対策の強化が行政から指導されています。

栗山 抜き忘れた他人のICカードを素知らぬ顔で抜き取り、精算機で精算して帰る…。軽犯罪ですけれども置き引きは犯罪です。

ートイレ前にも防犯カメラの設置を想定しているのは破損や汚損の対策ですか?〈右ページ参照〉

栗山 はい。トイレに入ろうとする方ではなく、出てこられる方の顔を撮る運用になります。こうすることで破損や汚損をした人物を絞り込むことができます。入店される方の99%は普通のお客様。0・0何パーセントの防犯対象者を常習化させないことが第一義です。もちろん確率論でいうとそういう場面はほとんどないとは思います。しかし1回2回あるだけで、お店に対するお客様の印象もガクンと落ちてしまいます。

ーちなみに登録している要注意人物を認識するまでのスピードはどれくらいですか?

茂木 そのご質問はよく頂戴しますが、とらえた瞬間、即時に発報します。

接客力向上にも役立つ高精度顔認証の活用法

茂木 一方、接客というところでは従来にない新たな取り組みを提案できると考えています。常連客の特定です。以前でしたらスタッフの方が常連さんの顔を覚えていたものですが、最近ではスタッフもなかなか集まりにくい状況にあります。しかし、このシステムを活用すれば新しく入ったアルバイトの方にも常連さんの顔と名前がわかります。接客コンシェルジュ的な活用ですね。また私どもではホール様に対していろいろな設備機器も取り扱っています。こうした機器群と顔認証エンジンをつなげていくことも視野に入れています。ご期待ください!

フィールドテストではメダル持ち込み犯を実際に捕まえることもできたと語ったグローリーナスカの茂木氏と栗山氏。

フィールドテストではメダル持ち込み犯を実際に捕まえることもできたと語ったグローリーナスカの茂木氏と栗山氏。

システム構成例 高精度顔認証システム